新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

サックスを初めて買うという方へ

久しぶりに楽器に関することを書いてみる。

主に使う楽器はトランペットだが、サックスも好きなので、何本か所有している。高いのは買えないので、安価なサックスを探すわけだが、この場合、道は2つある。台湾製や中国製、ベトナム製の新品を探すか、もしくは、中古のサックスを探すか。

僕の場合は、後者である。新品にしろ中古にしろ、楽器選びから博打の要素を排除できないと思っているため、中古楽器に対して抵抗感がまるで無い。その結果、これまで買った10本以上のサックスは、すべて中古だ。

実際に試奏して買うのであれば、博打じゃないだろう?と思う方はいるだろう。しかし、新品の楽器は、しばらく鳴らした後でなければ、その本当の姿が分からない。

ならば、中古だったらOKかというと、そうでもない。例えば、試奏した時には定番機種より吹きやすいと思ったレア機種が、しばらく吹いているとジャジャ馬の 本性を現し、あまりのコントロールの難しさに1年で手放したというのは、僕の実体験。楽器は変わらないのだろうが、吹き手の状態の方が変化してしまうの で、試奏の時に良くても、その感想が永続するとは限らない。

また、サックスの場合には、管楽器修理店でリペアしていただくと、まるで別の楽器のように、ずいぶんと感じが変わることがある。それらを踏まえると、試奏は気休めにしかならないと割り切って、オークションで買うことも充分アリだ。

なお、中古管楽器については、前の人のクセが付いているから、初心者には向かないと言う意見を目にすることが多い。確かに、前の人のクセが付いている楽器が 存在することは、僕も経験上、否定しない。でも、だからそれが初心者に向かないかというと、そんなことも無いだろうと思っている。

やはり 実体験だが、僕のとあるテナーは、とあるプロ演奏者が30年くらい使っていたものなので、当然にその演奏者のクセが付いている。しかしそれが、自分の演奏 の妨げになるかというと、むしろその逆。前の演奏者のクセを活かした吹き方により、それまでの自分のレベルより上等の演奏ができたことが有る。付いている クセには、悪いものもあれば、良いものもあるのです。

散漫に書き散らしてきたが、まとめに移ろう。SNSで「管楽器を買いたいのですが、 どう選べば良いでしょう」といった質問があると、「必ず楽器店で試奏して買いましょう」と勧める回答がよく登場する。でも、それは必ずしも正解と限らな い。どんな買い方をしても、後悔する時は後悔するんです。ここ大事。

これから管楽器を買おうという方には、後悔するリスクが必ず存在する ということを、そして自分はそのリスクをどのくらい受け止められるのかということを最初に考えてから、楽器選びに踏み出していただきたい。そうすること で、たとえ後悔する結果になろうとも、その精神的ダメージは小さくできるのではないかと考える次第。

画像は、僕が中古サックス探しで出 会ったオールド・アメリカン・サックス珠玉の1本、Buescher 400の優美な管体彫刻です。現代のサックスでは、ここまで凝った加工を行ったものを見たことがありません。古いサックスには、現代のサックスに無いもの があり、その逆もまた正しい。自分がサックスに求めるものが新旧どちらにあるのか、サックスを買う前に、それを迷う時間もゆっくり楽しんで下さい。

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