新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

ソプラノサックスを巡る放浪

現在、管楽器のポートフォリオを再構築しつつあります。

そもそも、個人でそんなに幾つも持つはずのない「管楽器」という名詞に、分散投資を意味する「ポートフォリオ」という用語を組み合わせること自体が、世間一般的にはオカシイとも言えますが(笑)、一人で複数の楽器を演奏していますし、演奏する楽器の種類毎に1~5本の楽器を持っているので、全部合わせるとそれなりの数になるわけで。


ところが、両手では足りない数の管楽器があるにもかかわらず、自分でやりたいと思っている音楽領域には足りない楽器というものが、残念ながら存在します。一方で、メインの音楽領域に使う楽器はほぼ絞られてきているので、1年に1回も使わない楽器というのも、やはり存在する。


例えばアルトサックス。普段サックスはBuescher400とMark7の2本のテナーがあれば足りていて、敢えてアルトサックスを持ち出す場面は無い。一方、ハードバップより後のジャズやラテンバンドでは、ソプラノサックスが欲しいところなのだが、うちには満足に使えるソプラノが無い。

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このように、目的の達成という面では足りないが、不稼働資産が多い。これが今の僕の管楽器ポートフォリオ

というわけで、ポートフォリオ最適化計画の第一弾が、アルトサックス及びクラリネットの売却と、音程の良いソプラノサックスの入手です。せっかく勤務先が都内という利点を活かして、平日の晩に何本か試奏してきた。

現代のソプラノサックスは、ネック部分が管体から外せて、ストレートネックとカーブドネックの両方を使えるデタッチャブルタイプが多いのですが、僕はとある理由から一体型が好み。とにかく音程重視なので、設計年代の古い楽器とセルマー候補から外す。メーカーには多少のこだわり有。また、僕が演奏するとオモチャっぽく見えてしまうので、カーブドではなくストレート。こう考えてくると、主な検討対象は古くても音程に定評のあるYAMAHA YSS-62中古か、日本製or台湾製の近代サックスで一体型のストレートソプラノとなる。

さて、3日ほど店頭在庫を試奏した結果はご覧のとおり。

楽器としての評価
1位 Gottsu SEPIA VI
2位 YAMAHA YSS-82ZR(A店)
3位 Cannonball SVR-L "Vintage Series"
4位 YAMAHA YSS-62 [中古]
5位 ヤナギサワ S-901 [中古]
6位 YAMAHA YSS-82ZR(B店)

いくつかのHPで音程の良い名機と評されていたYSS-62が、案外にコントロールが難しかったのは意外でしたし、ましてYSS-82ZRが最下位に来るなんて結果も、完全に想定外。

これに対し、事前には何の期待もしていなかったGottsu SEPIA VI(シックスではなく、ヴィアイと読むらしい)が大健闘。マウスピースで有名になったGottsuが、サックスも作っているのですが、これの音程が非常に良い。YSS-82ZR(A店)と殆ど差を感じられないくらいの出来のよさ。また音色もダーク側に寄っていて、ジャズだけに使うならこれがベスト。ただしアンラッカーの外見は好みが分かれそう。最終的に購入する楽器を試奏していなかったら、僕はこれを買っていたと思う。

最下位のYSS-82ZR(B店)ですが、これはもう、どうしようもないレベル。まともな音が出ないという時点で、もう終わってます。実は一番最初に試奏したのがコレだったので、後日A店でYSS-82ZRを見た時、試奏せずにおこうかと思ったほどの悪印象。しかし、思い直して試奏したA店のYSS-82ZRは非常に優秀だったので、B店のこの結果は、個体差か調整の差のいずれか、あるいは両方のなせるものだったのでしょう。ちなみにA店では「82ZRは、けっこう個体差が大きい。」と評していました。

ちなみに分野別で評価すると、音色はCannonballのSVR-Lが最も豊かな音色の最上位でGottsuが2番。音程はYSS-82ZR(A店)が1番で、Gottsuが僅差の2番。

さて、楽器としての評価だけでなく、メンテナンスなど他の要素も考慮した、道具としての評価結果に従って、購入する楽器は選んでいます。実際に購入したのは、

YAMAHA YSS-82ZR(A店)


でした~(ここ拍手するところね)

 

Gottsuはすごく魅力的だったのですが、なにぶん取扱店が少ないので、地方でのメンテナンスに不安を覚える。また、ラテンバンドに使うには、音色が渋すぎるかもしれない。などなど諸般の事情を踏まえて、実に無難な、無難すぎるくらい無難な選択。オチも何もありません。とある友人には「君ならサクセロとかストリッチ(まっすぐなアルトサックス)とか行くかな、とも思ったンですが」と失望させてしまいました。期待していたヒトがいたら、ごめんねごめんねー。


今回、YSS-82ZRを買ったことに伴って、アルトサックスとバスクラを売却。アルトサックスは手元に無くなったけど、どうせ使わないからいいよね。

差し引きで管楽器は1本減少したが、それでもまだ両手では足りないことには変わりないようです(笑)