新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

ひねくれ音楽用語(1)

 辞書パロディの元祖的存在「悪魔の辞典」にヒントを得て、しばらく前に、”初心者向け音楽用語”というハッシュタグを付け、決して初心者向けとは言えない音楽用語(?)ネタを、twitterに書いていました。そのなかから、改めて世に曝してもいいかなと思えるものを、いくつかピックアップします。今回はその第1弾。

 なお、一部、初出から編集しているものがあります。

  

アマチュアジャズシンガー:自分のライブで時間を浪費させようという布教活動がやたら激しいため、うかつに友達になってしまうと面倒くさい人たち。
 
アンプ:「しまった!」と思ったミストーンを、嫌というほど増幅することで、プレイヤーの心を鍛えるための電気装置
 
パワーコード:爆音を卒業した後には必要なくなる、コード演奏法の1ジャンル
 
ジャズ:馴染みの無い人にとっては、この演奏がジャズなのかどうかを判断できるような特定の定義が無いという特質を持つ、音楽の一ジャンル。ジャズの帝王と呼ばれるようなプレイヤーが「俺の音楽をジャズと呼ぶな」と言ってたりするので、話を更にややこしくしている。
 
ジャズ:飲食店で使いやすい、B.G.M.の一ジャンル
 

サックス:特定の楽器個体に惑溺するプレイヤーの多い木管楽器。溺愛するあまり、自分の楽器に女性名を付ける男性がいるので、ジャズ隆盛期のアメリカで、ジャズ評論家がサックスを「金属のペニス」と評していたことは 内緒にしておこう。

 
ライブ:プロのそれは、聴衆の期待値に応え、一つの確固たる世界感を提示する場。アマチュアのそれは、往々にして、自分がやりたいパフォーマンス (演奏含む)だけを観客という名の被害者に押し付ける、聴衆不在自己満足の場だったりする。
 
向谷実:「タモリ倶楽部」などに出演する鉄道タレント。音楽スタジオの経営や、フュージョンバンド「カシオペア」(現在は脱退)で生計を立て、趣味の鉄道に入れ込んでいたらしい。「音楽が全て」ではなくとも音楽で成功することがあるという好事例。
 
ジャズ喫茶:暗黙のお約束が多い、めんどくさい喫茶店。普通の喫茶店でも、BGMはジャズが多い現在、わざわざジャズ喫茶を選ぶ動機の多くは、大人ぶりたいという幼児性の欲求だったりする。
 
音楽鑑賞:履歴書などで、「趣味なし」と書くのに気が引ける場合に使われる名詞

 

ドラム:巧者が演奏すると、音量を大きくしてもウルサく聞こえないという、世にも不思議な楽器。下手なドラマーだと、音量を絞っていても耳障りなことが多い。騒音で苦情を受ける原因としては、エレキギターとトップの座を争っている。
 
ト音記号:楽譜の五線の間で「ド」を記す位置を示すための記号の一種。同じ目的のための記号として、ヘ音記号はピアニストやベーシストに愛用されている。ハ音記号は絶滅危惧種。楽器を弾かないが、それがどんな記号かイメージできる人は、かなりのマニア。
 
坂田明:タレント。タモリの持ち芸「ハナモゲラ語」の創始者。広島大学畜産学部水産学科卒業。ミジンコの研究者として有名で、東京薬科大学生命科学客員教授に就任している。アルトサックスの演奏でも有名。
 
アップライトピアノ:多くの家庭で使用されている、高級な物置き台。レースのカバーで装飾されていることも多い。鍵盤が付属しているため、音曲を奏でることもできる。
 
トライアングル:小学校で習う楽器の一つ。形は似ているものの、ハンガーに転用することは、サイズの相違により困難。真面目に取り組むと、意外と難しい。小さいながらも、タイミングを僅かに外すだけで、演奏全体を気の抜けたものにしてしまうという、恐るべき破壊力を持つ。
 
いかりや長介(故人):元ドリフターズのリーダーでベーシスト。氏が長らく出演していた番組「8時だよ全員集合」は、一般的にコント番組と思われているが、実は、氏がバンドにおけるイジラれ方の手本を、世のベーシストに対して身をもって示した、啓蒙番組である。
 
タブ譜:五線譜を読めない弦楽器奏者向け限定の楽譜フォーマット。いつどのフレット(指板)をどの長さで押さえるかを現している。近似種に、次に押す鍵盤がどれかを、鍵盤が光って教えてくれるキーボードがある。
 
音楽理論:人々の生み出す様々な音列を、一つの首尾一貫した論理体系の中に押し込んでみようという虚しい試み。いくつかの理論体系が現存しているが、いずれも「理論」などと銘打っていても、全ての音楽を説明できるものではなく、いかがわしい仮説にすぎない。
 
アメセル:アメリカン・セルマーの略で、仏セルマー社製のサックスのうち特定の条件に当てはまる楽器。音色に秀でる楽器個体が多いが、調整されていない個体はダメセルと揶揄される。上手い奏者だけが使ってもよいというのが暗黙のお約束。関連項目「猫にアメセル」
 
谷啓(故人):コメディアン兼俳優。定番ネタ「ガチョーン」における、手を前後させる動作は、氏の本業楽器であるトロンボーンの操作にヒントを得て生み出された。
 
スタンダード:ジャズの世界で、よく演奏される曲として世間に認知されているはずの曲。ジャズ・スタンダードとして楽譜集に収録されている曲を見ると、何だかんだで千をこえるので、知らない曲がエラく多い。それって、本当にスタンダードなのか?
 
Love for sale:ジャズで良く演奏される名曲。曲の発表当初は放送禁止とされており、「きんたの大冒険」と同じジャンルに区分されることもある。
 
インスト:人間の薄っぺらい言葉で汚されていない、美しいままの音楽。
 
モダンジャズ:第二次大戦中に、戦争を忌避していた若者たちによって創造され、当時は「ジャズが発狂した」と評された音楽のスタイル。ダンスの伴奏という、それまでのジャズの役割を否定し、「踊ったりせず、ただ聴け」と言う路線に純化しており、演奏原理主義者との親和性が高い。