新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

優等生、グズる

 2017年2月に入手したソプラノサックス、ヤマハのYSS-82ZRは基本的に優等生な楽器なので、演奏ではあまり神経質に扱わなくともOK。7年くらい前に入手したヤナギサワの初代テナー(マーチンのコピーモデル)は対照的で、音程が暴れまくりだったため、僕の技量では手に負えないと思い、1年くらいで手放したほどだ。そんな楽器を経験したこともあり、あまり神経質に扱わねばならない楽器は遠慮したい。その点、現代のヤマハの楽器は問題なし。

 しかし、そんな優等生のYSS-82ZRでも、たまにグズることはある。

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 その異変に気付いたのは、楽器店でのマウスピースの試奏中。オクターブキーを押しながらDからFくらいの音を出すと、いきなり上の倍音が出てくるようになった。具体的な例で、Middle Dの運指で吹くと、実際にはHigh Aの音が出るという状態。ただしGより上ならそんな症状は起きない。オクターブキーを押さずに吹けば、意図したとおりの音は出せるのだが、なんだかやりずらい感じ。「レ」だと思って吹いたら「ラ」が出る状況を想像してほしい。トランペットだと倍音のコントロールは「イロハのイ」にあたる技術だが、サックスでの倍音コントロールは、トランペットよりもだいぶ面倒くさいので、願わくばご遠慮いただきたい状況。

 

 試奏でマウスピースを交換したら発生した現象なので、てっきりそのマウスピースの特性なのかと思ったのだが、後日、普段使うマウスピースでも同じ症状が出て、これはマウスピースの問題じゃないと気付いた。経験上、こんな時はキーの動きがどこか変になっている。

 

 上のオクターブキーは、普段どおりに動いている。だがよく見ると、下のオクターブキーの動きが、何だかおかしい。一度開くと、そのままになっている。ということは、どこかのバネが外れている。下のオクターブキーの連接部をたどっていったら、原因は見つかった。

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 上のオクターブキーの直下のバネが、今回の原因。御覧のとおり、一体型のカーブドネックなので、異物の干渉を受けやすい場所にバネが付いている。おそらくはマウスピースを交換した時に指が触れたか、楽器を置いた時に異物が触れたことで、このバネが外れたのだろう。このバネを戻したら、すぐに以前の優等生に戻ってくれたので一安心。

 

 こんな構造上のリスクはあるものの、相性の良いマウスピースを付ければ、下から上までストレス無く音を出せるので、良い楽器だと思う。