Donald Fagenを探る僕の事情、もしくは如何にしてジャズが見限られたのか
僕が普段聴く音楽は、ほぼジャズばかり。でも、子供の頃からそうだったわけじゃない。同年代の人並みに、FMのエアチェックで日本のポップスを聴いていたし、洋楽も少しは聴いた。
このように、ジャズセッションで出会うアマチュアミュージシャンの多くと同じく、僕も出発点はフォーク、ニューミュージック、ポップス、そして洋楽。大学を卒業してから、ソニー・ロリンズの名盤「サキソフォン・コロッサス」に出会い、それからはジャズ漬けの日々を送っている。
洋楽について、少しは聴いたと書いたが、未だにクリームなど弩級のメジャーどころすら頭に入っていないことが、今でも時々露呈してしまう。バンド(歌手)に着目して聴くのでは無く、その時に流行っている洋楽を何度か聴く程度だったから、洋楽については殆ど曲単位での知識しか無い。だから、洋楽のジャンル分けも、知識がすごく曖昧。
このように洋楽については、基本的には曲単位でしか着目しなかったのだが、例外的にアーティスト名をキーにして聴いていたのが、AORの代名詞とも言えるSteely Dan / Donald Fagen。もっとも、他にAORのアーティスト名を挙げてみろと言われたら、即座に白旗を揚げるんだけどね。
脱線しかけたが、最初にI.G.Y.を聴いた時は、なんて洒落た音楽なんだろうと強い衝撃を受けた。そして、AjaやGauchoで、またも「スッゲー、他のミュージシャンとは違っているってことだけ分かるが、何が違うのかが分からない。でもとにかく、格好いい」と思わされ、そのまま現在に至る。
ジャズの影響を強く受けているというか話は聞いたことがあるのだけれど、それ以外にも、最近こんな本を読んで、何が違うのかを少しだけ紐解くことができた気がする。ちなみにナイトフライってのは、I.G.Y.が冒頭に収録されているDonald Fagenのソロデビューアルバムのこと。
とはいえ、なぜナイトフライやAja、Gauchoを洒落ている、もしくは格好いいと僕が感じたのか、それについての手掛かりは無かった。このため、次に手にした本がこちら。
ライターとしてのDonald Fagenが書いたエッセイを集めたこの本、実を言うと僕はまだ第一章しか読めていない。何故かというと、予習復習が必要な内容だったから。
「エッセイ集を読むのに何で予習や復習が要るんだ?」と思われるかもしれない。でも、予習無しで読んだら、1割くらいしか頭に入ってこないだろう。たまたま僕は、予習に適した本を読んだことがあるので、3割くらい、なんとか頭に入った気がする。でも、もっと深く読み解くためには、復習として調べ物が必要。
第一章を読んで分かったのは、Donald Fagenのルーツが幼少期からのジャズ体験(ハイスクールの頃はピアノトリオでジャズを演奏していたらしい)にあり、ジャズに飽き足らなくなって、その先に進んだ人だということ。ゆえに、第一章は1920年代のジャズシンガーの話から始まって、マンシーニに至っている。それを語る過程で、ミンストレルショーなど、その頃のアメリカの風俗に関する予備知識が多少なりとも無いと、Donaldが何を言っているのか、さっぱり分からない。エラい本に手ぇ出してもうたなぁ(汗)
などと、脅かすようなことを書いてきたが、その文章は音楽と同様に洒落ていると感じる。難解な文章が苦にならない方には、おすすめできるかな。
ちなみに、予習に適した本と書いたのは、これのこと。こちらも独特の文体で、読みやすいとは言い難いが、ジャズの歴史を当時の風俗世情と絡めながら解説している良書だと思う。同じ著者の「憂鬱と官能を教えた学校」まで読むと、結構な予習になるだろう。
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