新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

さまようフリューゲルホーン、もしくはYFH-731のこと

ジャズを演奏するトランペット吹きは、持ち替え楽器としてフリューゲルホーンも持っていることが多い。


バラードの演奏など、柔らかい音を求める場合に使うもので、僕も2本持っている。一時期はロータリー式やオールドケノンなどで4本持っていたのだが、さすがに使いきれないため、今後も使わなそうなモノは売却した。

今の2本は両方ともヤマハ製。1970年代のYFH-731 と現行モデルのYFH-8310ZSで、どちらも銀メッキ。

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YFH-731は1972年から1985年まで製造されていたモデルで、台湾のメーカーによくコピーされていたらしい。ヤマハの現行モデルでは、YFH-631がこれの復刻版という位置づけのようだ。特徴は、とにかく重量感があるということ。持った感じは他の楽器より重いし、音色はいかにも管体の厚みを感じさせるもの。

なお、同じ型番の731でも、初期型と後期型がある。初期型はベル寄りの3番抜き差し管に付いているが、後期型はマウスピース寄りの1番抜き差し管に付いているので、すぐに判別が可能。どちらかというと、初期型の方が評価は高いらしい。僕の場合はe-Bayで程度の良い初期型を見つけ、アメリカから輸入した。

評価の高いYFH-731だが、ピストンは唯一の難点。現代のトランペット、特にBachなどのピストンと比べると、とにかく重い。僕の場合、ピストンの重さをさほど気にしないため、バネの力を強めてピストンが早く戻るよう調整している。だが、僕の師匠も含め、ピストンの軽さを重視する演奏家は多い。

これに対し、YFH-8310ZSはいかにも現代の楽器。ピストンは軽く、音程もYFH-731より正確で、重量も軽い。どちらがコントロールし易いかと問われれば、8310に軍配を上げざるを得ないだろう。譜割りが細かくてテンポの速い曲をやるなら、断然8310だ。

ただ、だからといって731が不要ということにはならない。僕の場合だと、8割以上は731を使っている。演奏にフリューゲルホーンだけしか持参しないというケースは少なく、基本的にはトランペットとフリューゲルの2本を持参する。この場合、メインのトランペットSchilkeが軽量級なので、持ち替えは重量級とすることが多いのだ。

【YFH-731の音色】

YAMAHA YFH-731デモ演奏 - YouTube


【YFH-8310ZSの音色】 2分25秒くらいから僅かにデモ演奏

https://youtu.be/pPgvNXlehEIhttps://youtu.be/pSTwy1kNvUo


さて、この2本で満足しているかと言われると、実は自信が無い。ジャズでフリューゲルホーンを使う場合、ダークな音色を求められることが多いのだが、僕の2本は、いずれも僕が満足するほどダークとは言い難く、他メーカーのフリューゲルがダークな音色を響かせる場に行き会うと、つい気になってしまう。さて、ヤマハ2本体制は、いったい何時まで続くものやら(笑)