新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

引き続き負け組サックス

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前回の記事では、ひとごとのようにC管(C-melody)サックスの基礎知識的な話を書いていたが、今回は自分のこととして書いてみる。

 

僕がC管を使うのは、こんなときだ。

  • 歌伴確定の演奏現場
  • Key DやKey Aの曲を演奏
  • 他にテナーやアルトが沢山いるセッション現場

逆に、こんな状況じゃ無い場合には、テナーとトランペットの組み合わせが一番しっくりくる。というわけで、僕がC管を使う頻度は、年に1~2度といったところ。

 

歌伴は、C管が最も威力を発揮する用途だ。個人的にトランペットは歌伴向きじゃないと思っているため、歌伴がある場合は、フリューゲルホーンかサックスを使っている。移調楽器(テナーサックスやアルトサックス、トランペット)だと、ボーカリストが持参した、初見で演奏しなければならない譜面に対して、更にコード読み替えという手間が加わるのだが、C管サックスにはこれが不要。だから、譜面のコード進行を読んでいけば、とりあえず歌伴はなんとかなる。

 

Key DやKey Aの曲という話は、自分で移調楽器を演奏した経験が無い方には理解しづらいだろう。ピアノのド(C)とトランペット・テナーサックスのレ(D)は、実は同じ高さの音である。つまり、ピアノとトランペット・テナーサックスは、ドの音が違うということ。この差を埋めるため、ピアノ用の譜面がハ長調(Key C)の場合、テナーサックスやトランペットはその全音1つ上の調を演奏している。

つまり、ピアノ用でKey D(#が2個)の曲の場合、テナーやトランペットだとKey E(#が4個)として演奏しなければならず、ピアノ用でKey A(#が3個)に至ってはKey B(#が5個)として演奏しなけりゃならないのだ。これは結構面倒くさい。

 

僕も大好きなWaveというボサノバの曲は、Key Dで演奏されることが多い。Key Eとしてテナーでも吹けなくはないが、Key Dのままのほうが、よほど楽に吹ける。あと、ジャズではあまりKey Aの曲って登場しないけれど、ポップス・ロック(要はギターが主役のジャンル)だとKey Aは多い。こんな場合にも、C管は楽だ。

 

ところで、僕のC管サックスは、1920年代のC.G.Conn製。この頃のConnのテナーといえば、なんといってもチューベリーだ。モデル名はNew Wonderなのだが、1930年代にこのテナーサックスを使って人気を博していたChu Berryというサックス奏者がいて、彼の名前で通じるようになってしまったという、珍しい機種。うるさ型の人に言わせると、チューベリーはテナーだけであり、アルトはチューベリーと呼んじゃいけないということらしい。

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北浦和なかざわ管楽器修理工房でオーバーホールと若干の近代化工事を行っていただいたのだが、上の画像は、その時にチューベリーと並べて撮影したもの。左がC管で、右がチューベリーだ。同じシリーズの楽器なので、よく似ている。

 

なお僕の楽器は、オリジナル性よりは使ってナンボなので、テーブルキーをもう少し使いやすくするため、こんな感じに軽く改造してある。

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まぁ、この程度だと、近代サックスとの差は埋まらないが、オリジナルの状態よりは少し演奏しやすくなった。

 

吹いた感じだが、僕はアルトに近いと思っている。だが、アルト吹きの友人(新品Cメロディのオーナー)が言うには、テナーに近いと。普段使っているサックスがテナーなのかアルトなのかで、感じ方が違ってくるようだ。

 

さて、最後にC管に対する僕の感想。テナーやアルトでできることは、C管でも大抵は可能なので、C管1本でサックス生活を送ることも可能だろう。だが、それ以上にテナーサックスの方が僕には魅力的。だからC管は、今後も限られた場面でしか使わないだろうなと思う。