新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

Venova 国内発売に先駆けて演奏現場にデビュー

ヤマハが新たに作り出した、ちっちゃな管楽器、その名もVenovaが、いよいよ今月末に日本国内での販売が開始されます。「日本での発売が」とワザワザ付けているのは、すでに欧州で発売されているから。で、ウチには個人輸入したVenovaが既にあったりするわけで。 

 

jazzwombat.hatenablog.jp

 

国内販売が近づくにつれて、徐々にメディアでVenovaが紹介されることが増えてきました。国内発売前とあって、個人がその使用感などを紹介するブログは少ないため、あるメディアで紹介された直後は、このブログの1日あたりアクセス数が20倍近くに跳ね上がったことに驚かされましたが、それだけ関心のある方は多いということなのでしょう。

 

サックスのプロ奏者の方がVenovaを演奏する動画がポチポチ公開されていますが、普通に吹いている様子を見て、「おおーっ、簡単そうじゃん」なんて思ったら大間違い。あの方々の楽器コントロール能力は、常人の想像を絶するところにあり、その能力をもってしてようやく、普通の演奏を実現せしめているわけです。普通の人が演奏するには、半音(ピアノの黒鍵の音)の音程コントロールがすごく難しい楽器なので、すぐあんな演奏ができると思ってVenovaを買ったら、盛大にガッカリすること間違いなし。

 

サックスのような円錐管楽器って、管の長さが短いほど、音程のコントロールに苦労するのです。だから、サックスの音程コントロールの難易度は、テナー < アルト < ソプラノ < ソプラニーノという順番。同じく円錐管楽器のVenovaは、僕の実感としてソプラノサックスよりコントロールが難しい。

 

さて、僕がVenovaを入手してから2か月が経過していますが、演奏現場でまともに使ったのは2回。最初は7月1日に松戸某所のジャズセッション。この時は、なんとVenova同士での2管という、なんとも廃人な組み合わせでジャズスタンダード"Bye Bye Black Bird"を演奏してました。おそらくは、国内でVenovaを演奏現場で使った人は既にいるのでしょうが、2管で演奏したというのは、おそらくこれが初めてぢゃないかと。

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2度めは8月5日に昭島市の某所ジャズセッション。周囲の皆様から「Venovaで一曲!」と指定されての演奏でしたが、伴奏はギター、ピアノ、ベース、ドラムと、フツーにジャズを演奏するときの構成で手抜き一切なし。お遊びというには気合いが入り過ぎた楽器編成で、これもメロディーがシンプルな"Smile"を演奏。

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いずれも、♭や♯が少ないメロディーの曲を選んだものの、アドリブに入るとさすがに♭や♯を多用せざるを得ないので、やはり苦戦します。僕自身はサックスを吹きますが、これとも運指が少し違うので、運指に慣れていないことと、音程コントロールの両方が奏者を苦しめる。いやいや、練習すりゃーイイだろうと言われると、一言も無いんですけどね。

 

さて、何か所かへVenovaを連れ出して、周囲の方の反応を見ているわけですが、もちろんサックス奏者は関心を示してくることが多い。しかしながら、それ以上に、サックス奏者じゃない方からの関心が、以外と高い気がします。ピアノやギター、ベースやドラムの方が、サブ楽器として興味を示すことが割と多い。コンパクトに持参できるサブ楽器として、ソプラノサックスじゃ高すぎるし難しそうだけど、これなら良さそうって思う方が多いのでしょう。ジャズセッションだと、ピアニストがサブ楽器として鍵盤ハーモニカを持参することがありますが、その選択と似たところがありそう。

 

音色は、好意的に感じる方の割合が結構高いです。僕自身は、今ひとつかなと思うものの、演奏している人と聞く人の、それぞれ聞こえる音色は少し違うので、そのあたりが僕と周囲の感想が異なる原因かもしれません。

 

持参がお手軽ということは、私も断言できますが、先に書いているとおり、音程のコントロールはシビアです。ましてクラシックのような、音程をビシッと合わせる必要のある用途には、まるで向きません。でも、音程のコントロールへの挑戦も含めて、気楽に楽しむための楽器ということで、ヤマハはこれを作っているようです。こんな本も早々に用意して、挑戦者を募っているようですし(笑)

先行して使ってみた僕からのアドバイスとしては、およそ1万円という価格で、もれなく修行の日々が付いてくるところに、自分が楽しみを見出せそうかどうか、お買い上げの前にぜひご検討下さいませ、といったところです。