新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

Only One の曲がもたらす幸福感

最近、こんなサイクルジャージを買ったのだが、メーカーの説明書きを見ると「半袖ジャージ グレンチェック グラファイト」と書かれている。

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なに? グラファイトだと?

 

 

僕と同世代であれば、「グラファイト」という単語に反応して、"あの"メロディーで胸が熱くなるヒトが多いかもしれない。
 
 
♪On that train all graphite and glitter
♪Undersea by rail


Donald Fagen - I.G.Y. (What a Beautiful World) (HQ)

 

 何を隠そう、1980年代に僕がエア・チェック(今となっては死語ですな)でこれを初めて聴いた時、 それまで聴いたポップスなどと全然違う世界感に感激し、さしずめコルトレーンなど重いジャズばかり聴いていた大人が初めてReturn to foreverを聴いたときのような、異次元への扉が開く感覚が記憶に残っている。
 
その歌詞は僕には難解すぎて、当時はよく分からなかったが、そのセンスや音楽の構成はスゴいものだってことは、すぐに分かった。
 
 I.G.Y.とは、国際地球観測年(International Geophysical Year 1957~1958年)のこと。教科書的な解説はこちら。でも、歌詞の中には、I.G.Y.を直接表す表現が一切無い。シニカルな内容ということもあって、聴く者の知性感性がフルに試される曲である。

 いわゆるA.O.R.の中に位置づけられる曲だが、この曲を書き歌ったDonald Fagen (もしくはSteely Dan)を除いて、僕は他にA.O.R.を聴こうと思わなかった。この曲は、ジャンルを超越し、僕にとってOnly Oneの曲なのだ。

 こんなOnly Oneの存在の曲があると、今の僕のように、人間はときどき幸せになれる。