新・桂庵雑記

Jazz演奏やロードバイク、山や海など、桂庵(けいあん)が趣味に関することを書き散らしてます

取り越し苦労の確率は9割以上であって欲しい

ロードバイク乗りとして想像して欲しい。自転車に起きるトラブル、何が二番目に困るだろうか。

パンクはよくあるトラブルだし、ママチャリだと面倒だと思うが、ロードバイク乗りの場合には事情が違う。パンク修理セットを持参していることが普通なので、手間は多少かかるものの、上位には入るほどの困惑度合いではない。

何と言っても一番目は、ブレーキが効かなくなること。これは命にかかわるので、真面目にヤバい。

で は、いよいよ二番目。それは、ペダルを漕いでも自転車が進まなくなることではないだろうか。そうなる原因は、主に二つ。チェーンが切れるか、後輪の車軸で ラチェットが機能しなくなるか。チェーン切断の場合、チェーンカッター付きの携帯工具を持っていれば、なんとかならなくも無い。しかし、ラチェットが機能しなくなったら、普通はお手上げだ。

先日から使っているカンパニョーロ製のホイールだと、ラチェットの爪を立てるためのバネが折れると、 ラチェットが機能しなくなるらしい。ロードバイク乗りのブログを見ていると、山奥でそんな経験をした方もいるようだ。大勢で走るのであれば、まだ対処でき るかもしれないが、僕の場合は基本一人で走っているから、同様のトラブルに見舞われた場合、延々と山道を自転車を押しながら歩く以外に選択肢は無い。順当 ならば、この後は自転車屋に立ち寄り、修理を依頼することになる。

しかし、自転車屋までたどり着いたとしても、次なる罠が待ち構えている。カンパニョーロやフルクラムなど、ロードバイク向けのホイールハブの部品を、普通の自転車ではストックしていないのだ。

さすがに、遠距離の出先でこういったトラブルは勘弁してほしいが、そのために対応策は考えている。それがこれ。

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ラチェットスプリング、正式名はフリーボディ用ポールスプリングの5本セット(なぜ5本も要る?という声が聞こえるような気もするが)

部品の型番は5-FH-RE114だが、フルクラム(カンパニョーロの子会社)用は別の型番になっているらしい。

密林で探したら、一か所だけ扱っているところがあった。このスプリングを1本、パンク修理セットと一緒に搭載しておけば、自転車屋から先は自走可能だし、レンチと工具まで搭載すれば、その場で修理も可能。

ここまで用意するヤツは少数派なんだろうけれど、夜間や山奥の走行を想定する身としては、準備せずにいられない。これが「取り越し苦労」と揶揄されているうちが華だ。

 

Only One の曲がもたらす幸福感

最近、こんなサイクルジャージを買ったのだが、メーカーの説明書きを見ると「半袖ジャージ グレンチェック グラファイト」と書かれている。

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なに? グラファイトだと?

 

 

僕と同世代であれば、「グラファイト」という単語に反応して、"あの"メロディーで胸が熱くなるヒトが多いかもしれない。
 
 
♪On that train all graphite and glitter
♪Undersea by rail


Donald Fagen - I.G.Y. (What a Beautiful World) (HQ)

 

 何を隠そう、1980年代に僕がエア・チェック(今となっては死語ですな)でこれを初めて聴いた時、 それまで聴いたポップスなどと全然違う世界感に感激し、さしずめコルトレーンなど重いジャズばかり聴いていた大人が初めてReturn to foreverを聴いたときのような、異次元への扉が開く感覚が記憶に残っている。
 
その歌詞は僕には難解すぎて、当時はよく分からなかったが、そのセンスや音楽の構成はスゴいものだってことは、すぐに分かった。
 
 I.G.Y.とは、国際地球観測年(International Geophysical Year 1957~1958年)のこと。教科書的な解説はこちら。でも、歌詞の中には、I.G.Y.を直接表す表現が一切無い。シニカルな内容ということもあって、聴く者の知性感性がフルに試される曲である。

 いわゆるA.O.R.の中に位置づけられる曲だが、この曲を書き歌ったDonald Fagen (もしくはSteely Dan)を除いて、僕は他にA.O.R.を聴こうと思わなかった。この曲は、ジャンルを超越し、僕にとってOnly Oneの曲なのだ。

 こんなOnly Oneの存在の曲があると、今の僕のように、人間はときどき幸せになれる。

 

 

 

ゾンダで100キロ走ってみた

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ホイールとタイヤを交換してから、初の長距離を走ってきた。人によって長距離の定義は違うのだろうが、自分は100キロオーバーを長距離と表現している。多摩川サイクリングロード と鶴見川サイクリングロードを利用できる場所に居住しているのだが、今回は多摩川サイクリングロード経由で青梅まで走り、そこから武蔵五日市駅経由で拝島 から多摩川サイクリングロードを戻るというもの。

 多摩サイを走る方はご存じと思うが、管轄の市町村により走行ルールや舗装状態が異なっている。 そのなかでも、府中国立のあたりは、路面にワザと振動を生じさせるような厚い塗装の縞模様ゾーンが何箇所か作られていて、何も考えずにそこを通過すると、 かなりの振動が発生する。あれはヤメて欲しいと思いながら、いつも通過していたのだが、今回Campagnoloのホイール・ゾンダと、パナレーサーのタ イヤ・グラベルキングで、初めてそのゾーンを通過してみた。

 結論から先に言うと、突き上げがすごくマイルドになって、あれで体力を削られる度合いが確実に減った。普通に走っている状態で通過すると、やはり振動は大きいが、前のホイール&タイヤよりは、明らかに突き上げが柔らかくなっていた。振動 に備えて多少腰を浮かせると、非常に楽にあのゾーンをクリアできる。ホイールとタイヤ、どちらの貢献度が大きいのかは分からないが、体への負担は明らかに 軽い。

 青梅から武蔵五日市までは、標高差100メートルくらい、斜度は最大で8%程度の峠がある。これを超えるときも、おそらく前のホイールの時よりは楽だったように思う。上り坂に関して、少なくともデメリットは感じられない。

 なお、ゾンダでの走行距離が100キロを超え、おおむね慣らし段階は終わったようだ。前にラチェットの音はグリスアップで静かになったと書いたが、その音量は少し大きくなっている。ただ、爆音というほどではない。

 このほか、ブレーキの効きもよくなった。ただ、「前のホイールの効きが良くない」or「ゾンダの効きが良い」いずれが正解なのか、これ以外のホイールで走った経験がないため、僕には分からない。

 最後に、地味にメリットだと思っているのは、逆風や横風への

反応。前のホイールAXISは、スポークが丸断面だが、ゾンダは長方形の断面。そのためなのか、別の理由によるものかは分からないが、風の影響が多少小さく感じられる。

  ちなみに、ゾンダは10速や11速対応として販売されているが、シマノSORAの9速でも、全く問題なく換装できる。つまり、シマノSORA装着モデルと いうエントリーレベルのロードバイクでも、ゾンダのメリットを享受することはできるのだ。ゾンダに換えることを検討している方は、このことも考慮に入れた 上で悩んでいただきたい。

 まとめとして、僕自身のニーズに対しては、非常にマッチしたタイヤ&ホイールだったと結論づけて良いようだ。皆が皆、同じように感じるとは思わないが、固くないホイールを求める長距離走者向けには良い選択肢だろう。

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サックスとトランペットなど、マルチプレイヤーのこと

 演奏の場で僕と会ったことがある方なら、大抵はご存じのことと思うが、僕は複数の管楽器を演奏している。主に演奏するのはトランペットと、その持ち替え 楽器たるフリューゲルホーンだ。そして、サックスも吹く。ソプラノ、アルトとテナーを持っているが、普段吹くのはテナーサックス。演奏現場では、1曲のう ちでトランペットとサックスを持ち替えて演奏することもある。

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 なぜこんなことになっているかというと、それは僕がトランペットを始めた 経緯と大きく関わっている。そもそも、僕が好きな楽器は、テナーサックスである。Sonny Rollinsの名盤"Saxophone Colossus"で、朗々としたテナーサックスの調べに魅せられて、僕はジャズばかり聴くようになった。そこに、トランペットなぞ入り込む余地は無い。 今だもって、好きなジャズ・ミュージシャンを聞かれると、Dexter GordonとかSonny Stittなど、サックス奏者の名前を挙げている。

  時はそれから10と数年後、市役所が主催したジャズ演奏教室でアルトサックスを習っていた某同居人の様子を見ていて、自分でもテナーサックスを吹いてみたいと僕は一念発起した。普通なら、そのままテナーサックスへと突き進むところであるが、思わぬ回り道を余儀なくさせたのは、某同居人の一言。「自分と楽器 がかぶるのは、嫌だ」

 これを言われてしまうと、テナーサックスもアルトサックスも、とにかくサックスと名の付く楽器には手を出せない。いかに好きだとて、家庭の平和を犠牲するという対価は大きすぎる。さて、どうしよう . . .となった訳だ。

  僕が好きだったジャズ・ミュージシャンは、Sonny Rollinsを始め、サックス奏者が多いのだが、たまたまトランペット奏者Clifford Brownの演奏も好きだった。というわけで、サックスへの道を閉ざされ、消去法で楽器を選んだトランペット奏者が一人誕生したのである。1年間は、独学 でひたすら基礎練習を続け、2年目からジャズの演奏現場に少しずつ顔を出すようになった。しかし、サックスへの思いは断ち難く、地道に某同居人を説得し て、少しずつサックスも吹くようになり、今に至る。

 ところで、僕がこれまで出会ってきた方々には、サックスとトランペットは両立しないと思っている方が、結構な確率で見受けられた。でも、それって、なぜそう思うのだろう?

  例えば、金管楽器同士なら、トランペットとフリューゲルホーンやコルネットは、比較的容易に持ち替えができるため、両方吹く方は珍しくない。木管楽器同士 でも、クラリネット、サックスとフルートのうち2つ、もしくは全部を演奏できる方は、珍しくない。それなのに、金管木管の両方の場合には、驚かれるの だ。「トランペットとサックスと、よく両方演奏できますね」と驚かれた経験は、一度や二度じゃない。そのような、僕から見ると変な常識が形づくられた背景について考えてみた。

 サックスとトランペットを両立させることが出来なかった経験を持つ方がいるかと考えると、これは存在する。身近な例で言うと、僕のトランペットの師匠がその一人だ。サックスを鳴らしてみた後は、しばらくトランペットを鳴らせなくなったらしい。

  金管楽器への入り口の狭さも、原因の一つかもしれない。木管楽器は葦の板(リード)を息で振動させる構造であり、とりあえず音を出すだけなら、誰でもでき る。これに対し金管楽器は、自分の唇を息で振動させるのだが、どうやっても何度やっても鳴らすことの出来ないという方がいる。身近なところでも実例を見ている。

 また、日本人には二刀流を好まず、一つのワザに専念し極めてゆくことを良しとする発想が、多かれ少なかれ有る。だから、誰かが手当たり次第に色々な楽器に手を出すことに、なぜかしら「良くないこと」と感じてしまうのだろう。

 あと、吹奏楽出身者など技量を追及した経験のある方の場合、限りある練習時間のことを考えたなら、操作に親和性の高い木管同士もしくは金管同士の範囲で使う楽器を留めておくのがアタリマエみたいな心理が働いているのかもしれない。

  自分自身の話をすると、僕はだいぶ大人になってから管楽器を始めたので、自分がプロの演奏舞台に立つ姿など想像もしなかった。技量については、人様の前で 演奏するのに必要なレベルさえあれば、あとはオマケみたいなものだと思っている。もちろんオマケが多い方が良いが、別に僕がプロ並みにならねばという必要 性も感じていない。それよりは、やってみたいと思った楽器を、広く浅くやってみたい。演奏する機会を楽しむだけではなく、楽器そのものも楽しみたいのであ る。
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 だから僕は、いくつも楽器に手を出してみた。トランペットに続いて挑戦したのは、ドラム。これは1年半レッスンに通ったが、なかなか基礎編から脱却できず断 念。次にアップライトベース。これは今でも続いている。そしていよいよ、好きだったサックスに挑戦。今はテナーサックスとトランペットを、両方とも演奏現 場に持参することが多い。このほかにも、トランペットの持ち替え楽器としてコルネットとフリューゲルホーンを吹いているが、コルネットは使う機会がほとんど無いので、手放した。バルブトロンボーンは、吹くことは出来るのだが、トランペットと交互に吹くのは無理。これを一度吹くと、唇のなかでも、トランペッ トを吹くときに振動させる領域が痺れ、音を出せなくなる。フルートもやってみたが、これは結構難しい。しかしそれより難しかったのが、クラリネット。バス クラリネットの音色が好きで、これを演奏で使ってみたいのだが、指使いが難しく、当分は無理だろう。クロマチックハーモニカは、一発芸として使う程度だ が、その音色は結構好みだ。

 類は友を呼ぶという訳でもないだろうが、僕の周囲には、複数の楽器を演奏する方が、結構いる。プロの音楽家 でも、複数の楽器を演奏する方はいる。大御所クラスだと、T-SQUAREのサックス奏者だった本田雅人さん(サックス、トランペット、ピアノ、ギター、 ドラムなど)、Keith Jarrett(ピアノ、ソプラノサックス、パーカッション、リコーダーなど)やMarcus Miller(ベース、ギター、ドラム、バスクラリネットなど)といった名前がすぐ挙がるくらいだから、マルチプレーヤーは珍しくない。一つの楽器を極めるのは、当然良いことだと思うが、マルチにはマルチの良さと楽しさがある。

 サックスも吹いてみたいという喇叭(らっぱ)吹きや、トラ ンペットも吹いてみたいというサックス奏者、そんな皆さんに向けて、僕は「一刀流にこだわる必要は無い」と宣言しよう。やってみたいと思い、それを可能に できる経済環境や音楽環境があるならば、とりあえずやってみれば良いんじゃないかな。

ホイールをZondaに交換

f:id:jazzwombat:20160612223448j:plainイタリア製の自転車ホイールをイギリスの通販会社に発注したところ、11日後にスペインから届いた。なんとも国際的な話だなと思いながら、早速開封。ホイールという、いかにも重量密度が低そうな製品なので、梱包重量は4キロ未満にもかかわらず、箱がやたらと大きい。
  半年前に購入したロードバイク、Specialized Roubaix(ルーベ)に装着されていたホイールは、AXIS 1.0。AXISというのは、Specializedのロードバイクに標準で装着されているパーツに時折見受けられるブランド名なのだが、日本語サイトで 調べてもあまり情報が無い。このホイールに関しては、DT SwissあたりがOEMで出しているものかと推測。リムハイトが30ミリで、スポークの数が多く、頑丈そうな作り。ロードバイク乗りは、重いホイールの ことを「鉄下駄」と呼ぶが、このAxis 1.0についても、鉄下駄疑惑が濃厚(笑)
 今回届いたホイールは、Campagnolo(カンパ ニョーロ、通称カンパ)のZondaという製品。アルミ製のリム、スチール製のスポークと、よく回るハブの組み合わせにより、前後セットの重量1.6キロ 台という軽さと、価格の軽さのバランスを実現した、世界的な定番ホイール。丈夫なホイールなので、プロ選手が練習に使用しているし、Paris- Brest-Parisという、1,200キロを90時間で走破するおかしな人たちのイベントで元プロ選手三船雅彦氏もゾンダを使っていた。僕の場合、100キロ以上の距離を楽に走行したいという目的なので、スチール製スポークにより衝撃吸収能力が高く、重量も軽めで、丈夫かつ財布にも優しいZondaは、ちょうど良い選択肢だ。
 ところで、カンパのホイールというと、ハブのラチェット音が大きいと言われている。ネットで「カンパ 爆音」で検索すると、いくつも動画がヒットするくらいだし、実際、届いたホイールでもラチェット音は明らかに大きかった。だがしかし、ラチェットの 仕組みを考えると、そこで爆音を発しているということは、機械として良い状態では無いのだろうと容易に想像できる。そこで、自転車に取り付ける前に、まず フリーハブ部分を分解した。もともと付いていたグリスを拭い去り、改めてたっぷりとグリスを充填してから、再組立て。その結果、ラチェット音はAXISや シマノ製ハブに近いレベルまで小さくなっている。

 それでは、お待ちかねの重量比較。はかりは持っていないため、前輪ホイールを手に持って比べてみる。
. . . . . .明らすぎる位にZondaの方が軽い。3分の2くらいのイメージかな。


 前後ともホイールを交換して、20キロほど慣れた道をテスト走行。まず、漕ぎ出しが軽い。向かい風の時、少し楽になった。そして何よりも、乗り 心地が良くなった。Zonda自体が、柔らかめと言われるホイールなのだが、これには、タイヤも大きく貢献しているだろう。Zondaに装着したのは、パ ナレーサーのグラベルキング26C。26Cとはいっても、それまで使っていたSpecialized名義で発売されている25Cタイヤと幅はほとんど変わ らない。スペシャのタイヤは推奨空気圧が8.5barだったが、グラベルキングは7.4barなので、この違いも大きい。感覚的に、乗り心地は2割以上良 くなった気がする。これなら、100キロ以上走行した後の疲労度も、大きく違ってくるだろうと期待大。

 最後に、海外通販と国内通販の比較。私が発注した時、イギリスの通販会社での価 格は3.9万円(送料込み)で、配達時に消費税1,700円と通関料200円を支払った。合わせて4.1万円。これに対し、国内の通販会社だと安くとも5 万円台。リアのスプロケット交換ができる程度の工具を持っていて、自分で作業することが苦にならず、納期が20日近くかかっても問題なく、消耗部品の入手 にもアテがあり、到着した商品にトラブルがあった場合の対処もできるならば、海外通販は有力な選択肢だろう。

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サックスを初めて買うという方へ

久しぶりに楽器に関することを書いてみる。

主に使う楽器はトランペットだが、サックスも好きなので、何本か所有している。高いのは買えないので、安価なサックスを探すわけだが、この場合、道は2つある。台湾製や中国製、ベトナム製の新品を探すか、もしくは、中古のサックスを探すか。

僕の場合は、後者である。新品にしろ中古にしろ、楽器選びから博打の要素を排除できないと思っているため、中古楽器に対して抵抗感がまるで無い。その結果、これまで買った10本以上のサックスは、すべて中古だ。

実際に試奏して買うのであれば、博打じゃないだろう?と思う方はいるだろう。しかし、新品の楽器は、しばらく鳴らした後でなければ、その本当の姿が分からない。

ならば、中古だったらOKかというと、そうでもない。例えば、試奏した時には定番機種より吹きやすいと思ったレア機種が、しばらく吹いているとジャジャ馬の 本性を現し、あまりのコントロールの難しさに1年で手放したというのは、僕の実体験。楽器は変わらないのだろうが、吹き手の状態の方が変化してしまうの で、試奏の時に良くても、その感想が永続するとは限らない。

また、サックスの場合には、管楽器修理店でリペアしていただくと、まるで別の楽器のように、ずいぶんと感じが変わることがある。それらを踏まえると、試奏は気休めにしかならないと割り切って、オークションで買うことも充分アリだ。

なお、中古管楽器については、前の人のクセが付いているから、初心者には向かないと言う意見を目にすることが多い。確かに、前の人のクセが付いている楽器が 存在することは、僕も経験上、否定しない。でも、だからそれが初心者に向かないかというと、そんなことも無いだろうと思っている。

やはり 実体験だが、僕のとあるテナーは、とあるプロ演奏者が30年くらい使っていたものなので、当然にその演奏者のクセが付いている。しかしそれが、自分の演奏 の妨げになるかというと、むしろその逆。前の演奏者のクセを活かした吹き方により、それまでの自分のレベルより上等の演奏ができたことが有る。付いている クセには、悪いものもあれば、良いものもあるのです。

散漫に書き散らしてきたが、まとめに移ろう。SNSで「管楽器を買いたいのですが、 どう選べば良いでしょう」といった質問があると、「必ず楽器店で試奏して買いましょう」と勧める回答がよく登場する。でも、それは必ずしも正解と限らな い。どんな買い方をしても、後悔する時は後悔するんです。ここ大事。

これから管楽器を買おうという方には、後悔するリスクが必ず存在する ということを、そして自分はそのリスクをどのくらい受け止められるのかということを最初に考えてから、楽器選びに踏み出していただきたい。そうすること で、たとえ後悔する結果になろうとも、その精神的ダメージは小さくできるのではないかと考える次第。

画像は、僕が中古サックス探しで出 会ったオールド・アメリカン・サックス珠玉の1本、Buescher 400の優美な管体彫刻です。現代のサックスでは、ここまで凝った加工を行ったものを見たことがありません。古いサックスには、現代のサックスに無いもの があり、その逆もまた正しい。自分がサックスに求めるものが新旧どちらにあるのか、サックスを買う前に、それを迷う時間もゆっくり楽しんで下さい。

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 #サックス

新緑の奥多摩に出かける(向かい風修行編)

4月最後の土曜日は、降水確率がゼロだったので、自転車で奥多摩駅まで出かけてきた。二子玉川から青梅までは多摩川サイクリングロードを使い、往復で140キロ以上の距離を走ることが目標。

多 摩川の河口に近い地域から、源流に近い地域まで遡るので、当然に上り基調である。だが、川沿いの道の上りは、大したものではないから、それほど苦しい思い もせず、11:30に奥多摩駅へ到着。このくらいのアップダウンならば、横浜市内の中原街道のアップダウンの連続を走る方が、奥多摩行きよりも体力を使う なぁと、奥多摩駅での休憩中に、しばし回想。

奥多摩はすっかり、ツバメが空の主役を務める季節になっていた。せっせと巣の材料を運んでいる。

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さて、問題は帰路にあった。午前中は風が気にならなかったのだが、見事に向かい風となり、しかも強くなっている。道は下りのはずなのに、自転車がなかなか 進まない。このため、そこそこ消耗しながら青梅まで下ったのだが、多摩川サイクリングロードに戻ると、風は更に強くなっていた。このため、時速30キロで の巡航など思いもよらず、20キロ前後で延々と多摩川を下ることに。向かい風だけでなく、時々は横風で進路を乱されるといった状況のなか、自転車に標準で 装備されていたホイールの、その重さと35ミリのリムハイトが体に堪える。

もっと軽くてローハイトのホイールが近日中に届く予定のため、比較が楽しみ。でも、比較するためには、また風が強い時に走らなければならないということか . . .(汗)

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